法人破産(代表者がすべきこと)

法人破産をした場合、法人・会社の代表取締役(社長)は責任を負わなければならないのでしょうか。

一般的に考えれば法人・会社の代表者は法人破産の時に一緒に個人破産もする必要があるのではないかと思いますよね。

以下に簡単なチャート図を載せました。
ご自身が破産しなければならない状況にあるのかどうか是非一度ご覧になってみてください。

いかがでしたでしょうか?
もちろん、このチャートで全て判断されるわけではありませんが、このように見てみると、必ずしも法人破産をしたときに代表者様も一緒に手続きをとらないといけないというわけではないことがわかります。
ここから、もう少し詳しくお話していきましょう。

●法人代表者の責任について

会社・法人が破産手続きをしなければならない状況だからといって、代表者様個人も一緒に責任を負わなければならなくなるというわけではありません。
ただ、実際のところ、法人・会社の保証人や連帯保証人になっている場合は法人破産をした場合、その保証債務は保証人になっている代表者様が被ることになると思います。そうなると、これからの支払いは代表者様自身でしていかなければなりません。
結果、その支払いが代表者様の方で問題なく出来るのであれば、法人・会社の破産手続きのみで足りる状況かと思います。
しかしながら、保証債務が降りかかってきたらその返済はちょっと厳しい・苦しいとなると、やはり法人破産と一緒に代表者様個人も何かしらの債務整理手続き(自己破産や個人再生等)を検討しなければならなくなるかもしれないということです。

●法人代表者として制限されることは?

代表者様個人が破産手続きを取らない場合でも、法人破産自体は代表者様の協力なくては進めることができません。
しかしながら、何か制限されるかといえば,そういった心配はありません。
例えば、「新しい会社を立ち上げたいけどそれも制限されてしまうのか?」といったようなお考えをお持ちの方もいらっしゃると思います。
代表者様個人が破産手続きをしていないのであれば、新しい会社を立ち上げたとしても、制限されることはありません。
ただし、新たに融資を受けるという場合は一度法人破産をしている代表者なので、審査に通りにくくなる可能性はありますのでご注意ください。

●役員報酬はどうなる?

そして、法人破産をしているときに気になるのは、その間の収入(報酬)ではないでしょうか?
法人・会社が破産手続きをしている場合、従業員等への未払い給与は支払うことができますが、役員報酬は給与とは扱いが異なり、支払いの対象にありません。
よって、受け取ることができないお金となります。
万が一、法人・会社から役員報酬を受けとってしまうと、法人・会社が偏波弁済(お借入先等で特定の業者にだけ返済をして偏った扱いをしてしまう行為)をしたとみなされてしまう可能性があるのです。
偏波弁済をした場合、法人破産が認められなくなったり、相当額の支払いを裁判所へしたりしなければならなくなる可能性があるため注意が必要です。

●じゃあ収入を得るために違う仕事はしてもいいの?

新しい仕事をすることは特段制限されていません。
特に法人破産だけするような場合は職種も制限されないことがほとんどです。

●家族に迷惑はかかる?

法人破産をするからといって、代表者様のご家族に何か影響が出るかというと、そういったことは少ないと思ってください。
少ないといったのには理由があります。もし、代表者様のご家族が一緒に会社・法人の融資に対して保証人・連帯保証人になっているという場合は代表者様同様に、支払いが厳しいなら自己破産や個人再生手続きを考えなければならないかもしれません。
ただし、特に法人・会社に連帯するものがないのに、家族にも責任がおよぶかどうかということはさほど心配しなくていいと思います。

●物上保証人に迷惑がかかる?

土地や建物(家)を担保に融資を受けているが、土地や建物(家)の名義が自分ではな、親(親族)など,他の人(物上保証人)の名義になっている場合については,こちらをご覧ください。

ここまでご説明させていただいて、いかがでしょうか、法人破産をすることに少し不安はなくなりましたでしょうか?それとも、もっと聞いてみたいことが出てきましたでしょうか?

やはり、色々とわからないことをクリアにさせながら,手続きをしたいと思われる方がほとんどかと思います。
そんなときに、弁護士への相談が活きると思ってください。
上原総合法律事務所でしたら、一つずつお客様皆様の不安な点をお伺いし、親身になって、問題解決へご協力させていただきます。

併設している会計事務所と連携してお力添えさせていただくことも可能ですので、あらゆるところへ出向いて、専門家に相談して、一つずつ解決しなければならない煩雑なことも、ワンストップで解決していけると思います。

是非とも、一度法人の経営についてご不安なことがございましたら、上原総合法律事務所へご相談ください。