物上保証
物上保証と破産手続き
法人や自営業(個人事業)をされている方等で、以下のような方もいらっしゃると思います。
■土地や建物(家)を担保に融資を受けているが、土地や建物(家)の名義が自分ではなく、親(親族)など、他の人の名義になっている■
「物上保証」とは自分名義の土地や建物を他の人の借金のために担保として提供することを言い、「物上保証人」とはその担保を提供してくれる人のことを言います。
では、法人破産や個人事業主(自営業者)が破産手続きを取った場合、物上保証をしている人はどうなってしまうのでしょうか。
そして、「物上保証」をすることと、よく皆様が耳にする「連帯保証」をすることではどのような違いがあるのでしょうか。
●破産手続きをすると物上保証人はどうなるのか
最初にお話ししました通り、物上保証人はご自分で所有している土地や建物といった財産(不動産)を他の人が融資を受けるときの担保として提供した人のことを言います。
破産手続きをすることにして、融資を受けた方(主債務者)が支払い出来なくなった場合、物上保証人は抵当に入れた不動産を手放すか、又は相当額のお金を支払うかといった方法を取らなければならなくなります。
しかしながら、融資する金融機関は物上保証人との間に、「お金を借りている人(主債務者)が返済できなくなったら、抵当に入れているあなたの不動産を処分しますよ」という契約しか結んでいないため、例えば【5000万円の融資】に対して【担保につけている不動産の査定価値が4000万円】だったとしても、【不動産を手放した残りの金額1000万円】については支払う約束にないものとなります。
●物上保証人と連帯保証人との違いとは
一方、連帯保証人の場合は「お金を借りている人(主債務者)が返済できなくなったら、保証人になっているあなたが代わりに支払ってくださいね」という契約になっているため、元金および遅延損害金を含めた全額を主債務者の代わりに負担しなければならないことになります。
もし、主債務者が自身の名義の不動産を担保に入れていて、【5000万円の融資】に対し,【その不動産が4000万円】の価値がついたとしても、その後の支払いが主債務者においてできないのであれば、連帯保証人は残り1000万円を支払わなければならなくなるということになるのです。
●破産手続きをしたいけれども物上保証人がいる場合、どうすれば良いか
もしこれから事業(法人、会社や個人事業)の清算手続き(破産等)を考えている方の中で、融資に物上保証人を付けているという場合は、担保となっている不動産を所有している人に、「支払いが出来なくなってしまったこと」や、「担保に入れてくれている不動産を手放さないといけなくなるかもしれないこと」を正直にお伝えになっていただく必要が出てきます。
主債務者が破産した場合,物上保証人は担保に入れてくれている不動産で債務を支払わなければいけなくなりますが、どうしても不動産を手放したくないという場合、債権者と交渉して担保を抹消したり、競売手続きを止めたりすることが可能です。
なお、これから事業(法人,会社や個人事業)を始めるために融資を受けようと検討されている方は物上保証又は連帯保証を付ける際に、協力してもらえる方ときちんと話をして理解してもらったうえで、協力してもらうことをお勧めいたします。
逆に、これから物上保証人になる予定の方は、万が一、主債務者が支払えない状況になった場合には担保として提供する不動産は手放さないといけなくなる可能性があるということをご理解いただいたうえで、提供されることが最善です。
最終的に、何事も専門的な知識が必要になると思います。
ご自分がどのように対処しなければならないのか、担保に入れている不動産がどういう状況なのか等、手続きにおいてわからないことがございましたら、一度上原総合法律事務所へご相談してみてはいかがでしょうか。
破産手続きにおいては、いつ何をするのか、という計画と順番が特に大切です。
どのようにご家族と話をするべきかといったご不安や、今後の対応についても疑問があるかと思います。これらについて、弁護士から具体的にアドバイス差し上げることができると思います。
そして、それらも含めて、法人・会社の破産手続きが妥当なのかどうかなどもご案内することが可能です。
是非一度、ご決断をする前にご相談ください。